役作りのために染めた金色の髪、左耳のピアスホールによく似合うひげをたくわえた青年は、取材開始10分前に現れた。

 「ちょっと待ってください」。話を聞こうとした、まさにその時、男性マネジャーが声をかけ、青年の首もとに付いていた白い繊維をつまんだ。「さすが、だね。上着の羽毛です」。よく気のつくマネジャーに、ようやく目元がゆるんだ。

 自他ともに認める“人見知り”らしいが、3度目の舞台「血は立ったまま眠っている」(寺山修司原作)では、演出家の蜷川幸雄氏をはじめ初対面の人だらけだ。

 「最初は、蜷川さんが目の前にいるだけで緊張していました。でも、蜷川さんが“ボクも人見知りするんだよ”とおっしゃったのを聞いて意外だな、と。それから、あまり緊張しなくなりました」

 舞台は1960年の安保闘争を背景に、当時の若者の憤りや葛藤が描かれる。演じるのは、主役のテロリスト。

 「その時代のことは、蜷川さんや周囲の方々に教えてもらいました。蜷川さんは言葉で操ったり、実際に動いてみせてくれます。その動きを見ながら自分も動く、といった感じですね」

【V6結成15周年 仲間のありがたさ知ったある出来事】

 14歳のとき、「部活のノリ」でジャニーズ事務所のオーディションを受けた。「V6」のメンバーとして活動を始め、いまは結成15周年の真っ最中だ。

 「これだけ長くメンバーと一緒にいると、自由だとか窮屈だとか考えなくなりました。お互いの距離を保って、客観的にグループを見られるようになりましたから。違う意見を持っている人が近くにいるというのは、よいことですね。時には自分の意見を抑えなくてはいけないこともありますけど(笑)」

 仲間のありがたさが身に染みた、忘れられない出来事がある。

 20代前半、大阪城ホールでのコンサート中、ステージから落下し、気を失った。「気がついたら救急車の中で…。ただただ、悲しかった」。だが、翌日もステージに立った。動くことのできない彼を、5人の仲間はフォーメーションを変えてフォローしたのだ。

 当時、アクロバティックな動きをしていたV6では、ライブ中のけがは当たり前。井ノ原快彦のむち打ち、坂本昌行、長野博の骨折…。けがをしても舞台に立つ仲間を、こんどは自分や三宅健、岡田准一がフォローした。阿吽の呼吸-。

【ゴルフは40代から60代くらいの人と】

 人見知りで照れ屋な彼へのインタビューは、途中何度も“間”が入る。その静けさをこう表現した。「吸い込まれそうで、いいですよね」

 そんな寡黙な男が唯一、饒舌になったのが、ゴルフの話題。

 「去年は50回以上、行きました。始めたのは3年前。知人に誘われてゴルフ場へ行きました。練習もしていない、道具もない、でスコアはボロボロ。180くらいでしたね。いまは80から90。ゴルフをやるときは、初めて会う人でも、しゃべる内容に困らないんです。一日中、一緒にまわるから、どんな人か分かりますしね」

 どんな人と、どんな話をするのか?

 「40代から60代くらいの人が多いですね。ゴルフ以外は世間話ですよ。いま、何に熱中しているのか、とか…」

 いま熱中しているのは、やっぱり舞台?

 「そうですね。舞台を見慣れている人、いない人…、いろんな人がいると思うけど、蜷川さんは『グッとひきつけるのが大事だ』と、いつも言っています。そういう舞台にしたいですね。言葉で言うより、観てほしいし、感じてほしい」

 ペン/栗原智恵子



プロフィール
森田剛(もりた・ごう) 1979年2月20日、埼玉県春日部市生まれ、30歳。93年にジャニーズ事務所へ入所し、95年9月、V6でデビュー。97年、NHK大河ドラマ「毛利元就」で松寿丸、幸鶴丸役を熱演。舞台「血は立ったまま眠っている」の東京公演はBunkamuraシアターコクーンで1月18日-2月16日、大阪公演はシアターBRAVA!で2月21-28日。







from    http://www.zakzak.co.jp/people/news/20100105/peo1001051352000-n2.htm

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